無題
時代時代にその薄くて区分すらできない確かな日々。今の僕自身を形作ってきたたくさんの時代。
淡いグラデーションとなり、重なりながら少しずつ侵食し合っては、一つの時代が現代という表層に表れる。
当時は気づくことができないことも、少し時間という距離を置けば 近く感じられる。懐かしい届かない日々を切なくも感じてしまうけれど。
幾重にも重なった見えない薄い殻。
これにどう向き合っていくか、僕は死ぬまで続けなきゃいけない。
悔しさもある 。
ただ、悔やんでも始まらないし 取り返しはつかないんだと、身をもって現実に感じ得るしかなくて。
時折僕を突き刺すこの痛みに抗うことはできないし、逃げたりごまかしたりなんかするつもりもないし。
僕は、肯定的な部分を見続ける生き方より、冷たくてできれば避けていたい過去にも目を向けていたい。
僕が目を背けてしまうと、誰からもその時代が知られないまま忘れられたものになってしまうから。
悲しいままにはしておくつもりはない。
でもまだ今じゃないから もう少し後になる。
僕は必ず迎えにいく。
あの時代では守れなかったたくさんのモノを。