読書:インディアスの破壊についての簡潔な報告 (岩波文庫)
アマゾンでの記載はこちらです。(名前はまるちゃん)
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感想
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会社の昼休み中にふと手に取った薄い本。
あまりにも印象的なタイトル。
実はずっとこういう本を探していました。
我ら人類が行ってきた虐殺の記録のようなもの。
そしてそれらを被害者や当事者などの当時の人々はどう認識し、
自己処理し、どういう意識をもっていたのか、など。
これらを知りたいと思っていましたので、すぐに一冊購入しました。
本の流れや要約については、他の方が素晴らしいレビューを書かれていますので割愛します。 上記URLからご覧ください。
端的に、これは私が今まで読んだ400冊ほどの本の中でもかなり素晴らしい本となりました。
こういった記録を残し、はるか極東の2010年に私という人間に触れたという事実は、
この本がもたらした一つの大切な意味だったと思っています。
というか、そう思わなければ人間としての理性や精神が激しく萎えるぐらいの悲しい蛮行が
淡々と書きつづられていました。
だが、我々はこういった過去を認識し、当時の人々を非難したり、
現地人の人たちをむやみに憐れむのではなく、未来に向かって生きていかなければなりません。
そうでなければ、殺された人たちは報われない、そう勝手に思い込むぐらいの気持ちが必要だと思っています。
当時の実際の殺人者をただの狂気な人間だと吐き捨てるだけでは、何の真価もない感じがしています。
現代社会のルールも、数十年前と全く異なっていたり、今でも世界の国や地域によっては
色々な習慣、ルール、法律、常識などがあります。
そういった多文化理解、多様性の理解など、もっと我々は人類のみならず共生の意識を
常に持って生きていかなければならないと改めて思いました。
読後感は悪いです。 おそらくほとんどの人が、読み進めてゆくことも苦しい人もいると思います。
ただ、実際に見て、感じて、問題意識をもった人間が、こういった報告書を作成し、提出する、
こういった勇気を持っていた人間がいたということについても、感服しています。
本当に読む価値がある1冊だと思います。
いずれ時が来れば、わが子にもすすめたいと思います。